【定員超過利用減算】どこもやっているし…はNG!「やむを得ない事情」ってなに?利用定員を超える受け入れの基本的な考え方と減算についてわかりやすく解説

たとえば10名定員の児童発達支援や放課後等デイサービスにおいて、特に理由もなく恒常的に11〜15人の受け入れを行っていませんか?

実はこれは違法状態です。

たしかに定員超過利用減算についてのみを考えると、
「過去3ヶ月の利用人数の平均が、利用定員の数に3を加えて得た数を超えていない」かつ「1日の利用人数が利用定員の150%を超えていない」場合には減算算定の必要はありません。

でも、違法状態なんです。わかりにくいですね。

今回は定員超過利用減算についてわかりやすく解説していきます。

※ 弊所ブログ記事はそれぞれの指定権者ごとの解釈に対応するものではありません。
必ずご自身でも指定権者や国保連などの最新情報をご確認ください。

減算の要件と指定基準(適法かどうか)は全く別物

基本的な考え方として、
運営に関する基準(指定基準)を守ること=適法に事業を営むことになります。

この運営の基準と減算の算定要件は全く別物なんです。

ですから、「減算は適用されないけれども、違法状態」なんてことが起こり得ます。
この「定員超過」は児童発達支援や放課後等デイサービスの運営上、残念ながらよくある違法状態です。

基本的には10名定員の事業所が受け入れ可能なのは10人までです。
ここを間違えないようにしてください。

法令上(指定基準)はどうなっているの?

指定基準(児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準)では

利用定員及び発達支援室の定員を超えて、指定児童発達支援の提供を行ってはならない。ただし、災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合は、この限りでない。

となっています。これは児童発達支援も放課後等デイサービスも同じです。

あおやぎ

指定基準の第39条では児童発達支援の定員遵守について上記のように規定しています。
放課後等デイサービスについては第71条の6においてこの条文を準用(同じように適用させること)することになってます。
提供を行ってはならない」のですから、禁止です。

例外があります

原則は上記のとおりですが、例外があります。

例外が適用される前提条件①

「適正なサービスが確保されること」

これが大前提です。
では、適正なサービスとは具体的にどんなことを指すのでしょうか。それは、

人員基準や設備基準を満たしていること

とされています。

以下に具体的な例をあげます。

利用人数に応じた人員基準を守っている

例)10名定員の場合で、利用人数が12人の場合→児童指導員又は保育士を3名以上配置している

利用人数に応じた設備基準を守っている

例)10名定員の場合で、利用人数が12人の場合→発達支援室が29.64㎡以上ある
(長野県の場合、子ども1人あたり2.47㎡なので×12人分)

なお、災害の直後に必要な児童指導員等の確保ができない場合等合理的な理由が認められる場合は、利用定員に応じた人員基準(例:利用定員10人の場合で12人利用するときでも、児童指導員又は保育士を2人配置)のまま定員超過することもやむを得ないものとされています。

例外が適用される前提条件②

「次の範囲の定員超過利用であること」が2つ目の条件です。

1日あたりの利用実績

1日の利用者数が「利用定員×150%」を超えていないこと
例)定員10名なら、15人を超えて受け入れたことがない(15人まではOK)

直近過去3ヶ月の利用実績

過去3か月の延べ利用者数が「(利用定員+3)×過去3ヶ月の開所日」を超えていないこと
例)定員10名で、過去3か月の開所日数が75日の場合
(利用定員+3)×過去3ヶ月の開所日=(10+3)×75=975人を超えていない

あおやぎ

これらは「定員超過利用減算の要件」に満たないことを指していますね。
要するに、「適正なサービス提供をしていれば、定員超過利用減算にならない範囲の定員超過に関しては、やむを得ない場合は認めましょう。」ということです。

例外とは

災害、虐待その他のやむを得ない事情がある場合

上記の場合のみ、例外的に定員超過が可能とされています。

災害、虐待はわかりやすいですが、「やむを得ない事情」とはどんな時を指すのでしょうか。

やむを得ない事情とは

以下のようなケースが想定されています。

  • ア 障害の特性や病状等のため欠席しがちで、定期的な利用を見込むことが難しい障害児に継続した支援を行う必要がある場合
  • イ 障害児の家庭の状況や、地域資源の状況等から、当該事業所での受け入れをしないと、障害児の福祉を損ねることとなる場合

なお、

  • アのようなケースについては、利用人数が恒常的に利用定員を超えている状態でなければ、速やかに是正を図る必要はなく、
  • イのようなケースについては、既存の利用者が利用をやめる際に、利用人数の調整を行うなどの方法で是正を図れば足りるものとされています。

定員超過利用減算とは

あらためて定員超過利用減算の要件や単位数についておさえておきましょう。

定員超過利用減算の要件

上記の「例外が適用される前提条件②」でお示しした要件を超えて、子どもを預かることが減算の要件になります。
具体的にはこちらです。

1日の利用者数が「利用定員×150%」を超えてしまったとき
(10名定員なら16名以上がアウト)

過去3か月の延べ利用者数が「(利用定員+3)×過去3ヶ月の開所日」を超えてしまったとき
(10名定員で、過去3か月の開所日数が75日の場合
(利用定員+3)×過去3ヶ月の開所日=(10+3)×75=975人を超えたらアウト)

減算の割合

上記①については
該当した日に利用した障害児全員につき基本報酬の30%が減算となります。

上記②については
翌月の1か月間、利用した障害児全員に対し基本報酬の30%が減算となります。

あおやぎ

大きな減算ですね。
子どもの処遇に直接関わる要件ですから当然といえば当然です。
十分気をつけましょう。

定員超過利用減算に関するQ&Aがまとまっています

こちらのp.28とp.29に詳しく記載されています。
ぜひ参考にしてください。

まとめ

定員超過利用減算と違法状態の関係についておわかりいただけたでしょうか。

違法状態が恒常的に続いていれば、運営指導で指摘される可能性が高いです。
十分に気をつけてくださいね。

あおやぎ

「減算にはならないけれど、違法状態」ということがあり得ることを忘れないでください。

ご相談は弊所まで

弊所の記事をご覧になっても問題が解決しない場合には、一度ご相談をいただいた方が良い可能性があります。

お気軽に児発・放デイのすきっぷ(青柳夏苗行政書士事務所)までご連絡ください。

この記事を書いた人

行政書士 保育士 青柳夏苗