「支援プログラム未公表減算」を聞いたことがあるでしょうか。
「もちろん知っています!」と言える事業所様がほとんどであるかとは思いますが、
「準備万端です!」と言える事業所様は現時点ではそんなに多くはないかもしれません。
「よく知らない…」という方でも、新様式の体制等状況一覧表にでかでかと載っているので「これはなんだろう?」と気になっている方もいるかも知れませんね。
今回は支援プログラムについて詳しくまとめてみました。
もう既に作ってあるという事業所様も、詳細が発表されましたので必ず確認してくださいね!
(様式の発表が遅かったために、独自で作ってしまっている事業者様が散見されます…!)
※ 弊所ブログ記事はそれぞれの指定権者ごとの解釈に対応するものではありません。
必ずご自身でも指定権者や国保連などの最新情報をご確認ください。
支援プログラムって何?
支援プログラムとはズバリ、
5領域(「健康・生活」「運動・感覚」「認知・行動」「言語・コミュニケーション」「人間関係・社会性」)との関連性を明確にした事業所等における支援の実施に関する計画
のことです。
要するに、支援の内容は今までと変える必要ありませんが、その支援の計画をあらためて5領域に絡めて記載したものという感じです。
※5領域に関してはこの記事では深く触れませんので、こちらの記事を参考にしてみてください。
対象事業は?
支援プログラムを作成しなければならないのは
- 児童発達支援
- 放課後等デイサービス
- 居宅訪問型児童発達支援
この3事業です。
なぜ支援プログラムが必要になったのか
支援プログラムの目的はこれ。
作成及び公表により、事業所における総合的な支援の推進と、事業所が提供する支援の見える化を図ることを目的とする。
ものすごくざっくり説明すると、今までは事業所の支援内容が共通のルールも(あまり)無いまま、個々の事業所にお任せされていた部分が大きかったのです。これでは同じ障害福祉サービスであるにも関わらず、事業所によってサービスの質に大きな差が生まれてしまいます。
そこで、療育の基本の5領域(5領域の概念は今までもちゃんとありました。)にちゃんと絡めてプログラムを作成して、そのプログラムをちゃんと公表しましょうね。となったわけです。
どうやって書けばいいの?記載例はある?
残念ながら具体的な記載例は発表されていません。
でも、参考様式と作成の手引きは発表されていますので、参考にしてくださいね!
作成時の注意点
作成する際の注意点としては、
- 管理者や児童発達支援管理責任者のみで作らず、直接支援に従事する職員の意見を聴きながら作成すること(支援プログラムで定める内容が、個々の個別支援計画につながっていくものだから)
- 支援プログラムが「全職員が自事業所の理念や支援方針、提供する支援等について共通理解を深める役割」や「事業所の提供する支援内容の見える化によって、支援を必要とするこどもや家族のサービス選択に資する役割」も期待されていることを踏まえて作成すること
- 複数の事業を一体的に行う多機能型事業所の場合には、それぞれの事業ごとに作成すること
以上が挙げられています。
職員全員と保護者を含む関係者全員が支援プログラムについて知っている必要があるということですね。
何を書くの?記載項目はこちら
記載するべき各項目とその内容は以下のとおりです。
【事業所における基本情報】
① 事業所名
② 作成年月日
・作成又は見直しを行った年月日を記載する
③ 法人(事業所)理念
・法人又は事業所理念を記載する
④ 支援方針
・事業所における支援方針を記載する
⑤ 営業時間
・事業所の運営規程に定める営業時間を記載する
⑥ 送迎実施の有無
・送迎実施の有無について記載する
【支援内容】
⑦ 本人支援の内容と5領域の関連性
・支援内容と5領域を関連付けて記載する
・記載方法については問わない(※1)
⑧ 家族支援(きょうだいへの支援も含む。)の内容
・事業所において取り組んでいる家族に対する支援について記載する
⑨ 移行支援の内容(※2)
・事業所において取り組んでいる移行に向けた支援について記載する
⑩ 地域支援・地域連携の内容(※3)
・事業所において取り組んでいる地域支援・地域連携の取組について記載す る
⑪ 職員の質の向上に資する取組
・事業所の提供する支援の質を確保するため、事業所内研修の実施や外部研修への派遣等、職員の質の向上に資する取組について記載する
⑫ 主な行事等(※4)
・事業所において実施している主な行事等について記載する
(※1)(例)
★領域ごとの欄を設け、関連する支援内容を記載する方法
★記載されている支援内容に対して、各領域を関連付ける方法
(※2)移行に向けた支援は、必ずしも保育所等への具体的な移行だけを念頭においたものではなく、ライフステージの切り替えを見据えた取組、事業所以外での生活や育ちの場の充実に向けた取組、地域とつながりながら日常生活を送るための取組(地域の保育所等や子育て支援サークル、児童館、地域住民との交流)等も含まれる。
(※3)児童発達支援センターや地域の中核的役割を担う事業所においては、地域の保育所等や障害児通所支援事業所への後方支援(地域支援)の取組等を実施している場合には、その取組についても記載をすること。
(※4)行事形式の開催ではなく、通常の活動において季節に合わせた活動(例えば、節分、ひな祭り、クリスマス会、夏の水遊び等、季節に応じた活動など)を取り入れている場合も想定されることから、記載については、行事に限定されるものではない。
参考様式
こども家庭庁が発表した参考様式があります。
あくまでも参考なので、書式は事業者が工夫して作って構いません。(上記記載項目はすべて記載してくださいね。)
こちらは、上記参考様式以外にもこんなパターンが考えられますよー というパターンのイメージ図です。
- クラス分けを行っている場合の記載方法
- プログラム別の記載方法
- イラストを用いた記載方法
これらをまとめてくれています。
参考用の作成手引きがあります
こども家庭庁が出している、支援プログラム作成・公表の手引きはこちら。
この記事もこちらの事務連絡や手引きを参考にまとめています。
支援プログラムの公表について
令和6年4月 1 日より、運営基準において、支援プログラムの作成及び公表が求められています。
公表しないとどうなる?
目的は「支援の見える化」なので、作っただけじゃダメです。
きちんと対外的に公表してください。
ちゃんと作ってあっても、公表しなかった場合は「減算」です!
公表の仕方
事業所のホームページに掲載する等、インターネットの利用その他の方法により広く公表することになっています。
忘れないで!都道府県への届出
ホームページ等で公表したら、都道府県への届出を忘れないでください。
作ってあっても、公表していても、届出を忘れていたら「減算」です!
公表方法と公表内容を確実に都道府県へ届け出てくださいね。
長野県の届出書を置いておきます。
(別の指定権者の場合はそれぞれのホームページからダウンロードしてくださいね!)
支援プログラム未公表減算とは
減算はいつから?
支援プログラムの作成、公表、届出に関しては、令和7年3月31日までは「経過措置期間」です。
つまり、「努力義務」(できるかぎりやってね!)でOK。
逆に、令和7年4月1日からは「義務」(やらなければダメ!)なので注意してください。
どういうときに減算になるの?
令和7年4月1日以降に
- 支援プログラムが作成されていない
- 支援プログラムが公表されていない
- 支援プログラムの公表状況を都道府県へ届出していない
上記どれに当てはまっても「支援プログラム未公表減算」です。
十分気をつけてくださいね。
未公表減算の減算割合は?
届出がされていない月から解消した月まで、所定単位数の15%が減算されます。
令和7年3月31日までは努力義務とはいえ、支援プログラムの作成自体にはかなりの労力、期間が必要となるでしょう。
早めの準備をお願いいたします!
ご相談は弊所まで
弊所の記事をご覧になっても問題が解決しない場合には、一度ご相談をいただいた方が良い可能性があります。
お気軽に児発・放デイのすきっぷ(青柳夏苗行政書士事務所)までご連絡ください。